KEIFU 002
二つの授かりもの
立川裕大 ── 伝統技術ディレクター、t.c.k.w 代表、AMUAMI 創業者
1990年代から2005年にかけて、ミラノサローネには足を運び続けた。言わずと知れた家具とデザインの世界的な見本市だ。滞在中は現地に暮らす親友でデザイナーの城谷耕生と行動を共にしたのだが、彼がイタリアデザイン界の良心とも言える二人の偉大なデザイナー、アッキレ・カスティリオーニ氏とエンツォ・マーリ氏に目をかけてもらっていたおかげで、仕事場やご自宅でご一緒させていただける幸運にも恵まれた。
僕はお二人のプロダクトを実際に日本で売っていたので話も弾んだのだが、そんな時間の中で僕の人生を大きく揺るがす一喝をいただくことになる。
カスティリオーニさんは「誰もが受け入れている常識を鵜呑みにすることはやめなさい」と説き、マーリさんは「消費経済の奴隷になることなく、社会や文化の改革に身を捧げなさい」と語った。東京で忙しく過ごしている身としては普段考えもしない本質を突いたアドバイスに面くらったことを覚えている。そしてお二人が日本文化に深い敬意を寄せていたことも強く印象に残った。
1999年、その言葉を原動力に33歳で独立し、株式会社 t.c.k.w を興すに至った。
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