編阿弥
CONCEPT
うつりゆく風景の中で、
うつろわぬ愛着を傍らに置く。
土地に根付く手仕事は、
AMUAMIを介して真新しい品々となる。
五百年を継ぐ職人の技がつくるのは、
時を越える「未来の骨董」。
YUDAI TACHIKAWA
立川裕大
1965年、長崎県生まれ。オーダーメイドの伝統工芸プロジェクト「ubushina」を立ち上げ、日本の伝統技術を先鋭的なインテリアに仕立てるというスタイルを確立。空間に応じた家具・照明器具・アートオブジェなどを一点物として仕立ててきました。「東京スカイツリー」「パレスホテル東京」「伊勢丹新宿店」など、日本各地の職人と長年にわたって切磋琢磨しながらものづくりの現場を共にし、2016年、伝統工芸の世界で革新的な試みをする個人団体に贈られる三井ゴールデン匠賞を受賞。その実績を引き継ぎ、2023年、オートクチュールからプレタポルテへ。日本の技の粋を集めたプロダクトブランド「AMUAMI」をリリース。地域社会や環境と調和しながら、日本の職人の仕事を世界に届けていきます。
https://www.ubushina.com/
PHILOSOPHY
ものの声を聞く
一片の素材にも、大いなる自然の力が秘められています。土や水や光の恵み、四季の移り変わり、土地の気配など、自らを育んだ環境をその内に刻み、ものとしての命を宿す。森羅万象に聖なる力を見出してきた日本は、ものに宿る命をこそ再利用してきました。素材の記憶に耳を傾け、その力を引き出す技能を磨いてきたのが日本の職人たちです。命を自然からいただき、新たな生命となって自然へと帰る。AMUAMIのものづくりは、その循環の中にあります。
リミックスで破る
「ものの声」に、いかに姿を与えるか。思いも寄らない素材の取り合わせ、見たことのない技の掛け合わせ、新しいものを生む人の組み合わせ、その結果あらわれる様式の混ぜ合わせ。「真逆」を「一緒くた」にしていくアワセの感覚で、古きと新しきをつなぎます。too much(傾く)とsimplicity(引き算)、モダニズムと侘び寂び、和事と荒事……。伝統と前衛は、その際にあっては表裏一体。リミックスで時空の壁を破るのが、AMUAMIスタイルです。
見立てに狂う
姿をあらわした様式やスタイルを、何と見るか。ここにはないものの面影をつれてくる、何かのつもりになってみる。奔放な「見立て」遊びが、物語を動かします。清水の舞台を屋内に引き込み、竹林の星空を部屋の片隅にうつしだし、絹のような月を床に据えてみる。時空を越えるヴァーチャルな異世界が、小さな一品をめぐって立ち上がります。「見立て」は、ダイナミックで繊細な日本流のイメージング・メソッドです。細部にこだわるほどに、遊びが躍動します。
キワまでツメる
日本の仕事は、際(キワ)や端(ハシ)や隅(スミ)でものを言います。仕上がりを詰めるほどに際が立つ。ツメとキワが細部をつくり、全体を支えるのです。一分のすきもない仕上がりに向かって技の限りを尽くす職人たちは、挑むお題が新しく難しいほどに力を出します。AMUAMIは、職人への上質のお題が創発するミドルウェアであり、職人の技が最先端の技術と出会うラボでもあります。日本の伝統技術の継承と更新を担う苗代として、常に新たなキワに挑みます。
一蓮托生で行く
キワまでツメてつくりあげるAMUAMIの品々は、けれど使い手のイマジネーションと交わってようやく完成するものです。日本が愛する余地・余白は、相手の想像力を触発せんとする積極的な関わりです。受け手が、どう見立て、何として用い、どんな物語を加えるか。品物を介して物言わぬ対話が生まれ、その連なりが一座となり、互いに編集する阿弥衆「編阿弥」となる。AMUAMIに袖触れ合う人々とご一緒に、「未来の骨董」を編んでいきたいと思います。