結ぶ、という祈りの所作

しめ縄、おみくじ、お守り、そして祝儀袋の水引。日本人にとって、結ぶという行為は単なる固定の手段ではない。神事に由来する相撲もそうだ。力士は髷やまわしを結び、一日の取組は「結びの一番」で幕を閉じる。結ぶことは、暮らしの節目にも祈りの場にも立ち会ってきた、神聖な所作である。

その根には「産霊(むすひ)」という古い言葉がある。「むす」は苔むすの「むす」、命がおのずと生まれ育つさま。「ひ」は霊、目に見えない力のことだ。ばらばらだったものが結ばれる瞬間に、何か神聖なものが立ち上がるのを感じとっていたのだろう。

綾巻のスタンドライトの真田紐も、ただ機能のために結ばれているのではない。丹精込めて結んだ先には、末広がりの扇形の房が残される。行く末が開けていくことを意味する、もっとも縁起の良いかたちのひとつだ。

結び目そのものは、小さな処理にすぎないかもしれない。それでも我々は、そこに願いを込める余地を見出してきた。紐一本の結び方に、機能と祈りを同時に宿す。灯りをともすたび、足元の房がふと目に入る。そのたびに、誰かの願いがそこに結ばれていたことを思い出す。

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